超人気Facebookページ「Humans of New York」に、なぜ人が集まるのか。


hony

「Humans of New York」(HONY)というFacebookページをご存知でしょうか。フォトグラファー・Brandon Stantonによる、ニューヨークの人々を彼らのストーリーとともに写真で紹介するプロジェクト。Brandon氏が個人的に始めたものでしたが、今ではFacebook上だけでも約800万ものファンを集め、世界的にも注目される存在になっています。

その魅力は「The HONY effect: How ‘Humans of New York’ is altering lives」によると、

It appears that the blog panders to our inherent curiosity and perhaps even just helps us remember that everyone else is just as dejected, messed-up or as weird as ourselves,(以下略)

“Humans of New York”は私たちが生まれながらに持っている他人に対する好奇心を満たしてくれるだけにとどまらず、落ち込んだり、うまくいってなかったり、なんだか変だったりするのは自分だけじゃなくてみんな同じなのだ、ということを気付かせてくれる。

…ということであり、またHONYに取り上げられてその後の人生が変わった人も少なくないという、大きな影響力をもったプロジェクトのようです。

このFacebookページで写真とストーリーと同じくらい興味深いのが、コメント欄。ここに、人気が高まる理由がある気がしています。

投稿される写真やその被写体が語る言葉は、いつも荒削りで痛いほどリアル。悲惨な話や絶望的な話も少なくありません。そんな投稿に対して、様々な視点からコメントがつきます。そうして、一見ネガティブだったストーリーが、とてもポジティブに浄化されていく様子が心地よいです。

例えば、こんな投稿がありました。

「私は33歳で、いまだにバーテンなんかやってる。もっと最悪なのは、弟が世界的に有名な化学者だってこと。だから、父親は結婚式で人に話すとき「私の息子は100万ドルの奨学金をもらえることになった。娘は…ニューヨークに住んでる。」って言うの。実は私、超優等生だった。高校のとき2年も飛び級したし、大学も全額奨学金もらって入った。なのに、卒業もしないで道を踏み外しちゃった。なんでこうなったかわかんない。貯金してまた学校に戻らなきゃって思うけど、ぜんぜん貯金できないし。よくわかんないけど、いつもダサいなって思う。もうこれ以上、ダサい気持ちにさせないで。」

こんな一見ネガティブな彼女のストーリーに対して、多くのコメントが寄せられます。

Bartenders are world renowned chemists ;)
バーテンダーこそ、世界的に有名な化学者だよ ;)

I want to be her friend, she sounds so honest and refreshing.
なんて正直で清々しい女性だ。彼女と友達になりたい!

Not everyone needs a world renowned chemist, but most people need a drink. Cheers to you!
世界的に有名な化学者を必要とする人は多くないけど、ほとんどの人が美味しい一杯を必要としている。君に乾杯!

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自分の内面の世界を海にしていく。
その海を深く、浄化させていく。
そして、その浄水機能を高める。
自分がネガティブの終点、ポジティブの起点になるように。

青字は、ジョン・キム先生のお言葉。「海」という言葉を選ぶ抽象化のセンスと、「ネガティブの終点、ポジティブの起点」という理屈っぽい表現の共存する感じがジョン・キム先生らしいなぁ、と感じて印象に残ったお言葉でした。

世の中も、自分の中も、必ずしもポジティブなことであふれているわけではないけれど、それは自分の捉え方次第なのかもしれません。視点を変えれば違うものが見えてくる。「Humans of New York」は、浄化機能をもった海のような場所で、ポジティブの起点となっていることが、多くの人が集まる魅力的なFacebookページとなっている理由のひとつなのではないでしょうか。



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